「浜木綿の歌」

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 「浜木綿の歌」

    作詞:森田ヤエ子

    作曲:園田鉄美

    演奏:長崎センター合唱団

 

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新しさ織りなす日々に 糸車明るく弾み

浜木綿の白い花びら 開く日を待ちわびながら

平和への糸つむぐ時 曙の明けより赤く

島に生き闘うことを 誓い合う尊い姿

この日から春が始まる 銀色に芽吹く柳よ

ものみなは喜びに満ち 輝くよ五月の空に

清らかな人の心を 変わらぬ白さに込めて

浜木綿のああ花が咲く ひとすじに行方見つめて

 

 「浜木綿の歌」については、私にとって初めての歌曲とも呼ぶべき作品であったが、それ以上に、今の自分があるのはこの歌のおかげと言っても過言ではない。これを作った年、十何年ぶりかで原水爆禁止世界大会が統一されるということで、歌が募集され、門倉さとし作詞の「ひとつの夏に」に作曲した私の歌が入選したのだった。そして、大会代表の一人として私もヒロシマ大会に参加した。そして、大会終了後、全国のうたごえ創作講習会が同じヒロシマで開催されたのである。

 ところが、講習会でいきなり私に集団創作の1グループのチューター役が回ってきた。何で自分が選ばれるのかもわからないまま、創作の時間が始まったが、結局2日間の創作の時間をかけても私のグループだけは歌が完成しなかった。ああ、何でだろう、自分が悪いのか、俺にはもう歌を創る資格はないのでは・・・。そんなうちひしがれた自分に、講習会参加者の一人であった北九州の山田敏夫さんから一つの詞を見せてもらった。それが「浜木綿の歌」であった。

 詞は見事に起承転結をなしている。私は、この詞にヒロシマからの帰りの新幹線の中で曲を付けた。博多まで1時間だから、多分それ位で歌は出来たと思う。1連が3小節、全部で12小節の短い歌だが、1番から4番までの詞のイントネーションやリズムの違いを活かして完成した。長崎に帰って、この歌はその年の団の演奏会でも取り上げられ、みんなの愛唱歌の一つになった。この歌に私は救われたのである。